転職活動では職務経歴書が最大の難関となります。
中途採用では、面接よりも書類選考で落とされます。就職活動時と異なり、経歴やスキルがマッチするか、職務経歴書で採用候補を一気に絞り込むためです。
しかし採用担当をしていた経験からすると、送られてくる職務経歴書は的を外したものが多いのが実情です。
記述のポイントも踏まえた作成方法をお伝えしていきます。
転職で重視される職務経歴書
転職時は履歴書より職務経歴書が重視されます。
履歴書作成にかける労力を1とすると、職務経歴書は10倍かけても足りないくらいです。
よくしてしまう誤りは事実を淡々と記述することです。
アピールできる実績や成果がある人はそれでも問題ありませんが、事実の箇条書きのみで書類通過できる人は多くありません。
採用担当者は思っているよりも世の中を知らないと思ってください。
誰もが知る大企業、「1000人月の大規模プロジェクトマネージャーとしてプロジェクト全体を統括・完遂」などの分かりやすい実績でないかぎり、職務経歴書に具体的に記述していなければ評価されません。
具体的に書く内容ですが、ITエンジニア転職として必ず書くべき内容と、上流工程を目指すときに追加で記述すべきことがあります。
ITエンジニア転職の職務経歴書の書き方
上流工程を目指す・目指さないに関わらず、ITエンジニア転職で書くべき内容はほぼ決まっています。
逆に、これらが記載されていなければ誤った評価を受ける可能性があります。
関わったプロジェクト(システム導入保守)ごとに、最低限、以下の基本情報を押さえていきます。
- 関わったシステムの内容(Web、通販、会計、人事など)
- 関わった期間
- 担当した工程(詳細設計、単体テストなど)
- 導入規模・関わった人数、および自身の立ち位置(1プログラマーなど)
- プログラム言語や環境(Java、PHP、Oracleなど)
記述例としては以下になります。
- 関わったシステムの内容:大手電気機器メーカーの会計システム再構築
- 関わった期間:2016年9月〜2017年3月(7ヶ月)
- 担当した工程:詳細設計、コーディング、単体〜総合テスト
- 規模、人数、自身の立ち位置:案件規模260人月、開発メンバー23人(うち自社8人)、管理会計サブシステムの開発メンバーを担当
- プログラム言語や環境:Linux、Oracle、Java
なお実際には、箇条書きではなく表形式でまとめることを強く勧めます。
文字のみが羅列された職務経歴書は敬遠されます。A4用紙一杯に文字を羅列したものと、経歴を表形式にしたものを見比べてみてください。どちらが見やすいか、分かりやすいか一目瞭然です。
また経歴は、上から順番に新しいプロジェクト→古いプロジェクトの順に書きます。最新の経歴ほど最初に目に止まるようにします。
とくにIT業界は技術変動が激しく、直近の経歴が重視されるためです。
上流工程を目指すときの職務経歴書の書き方
プログラマーが上流工程を目指すなど、未経験領域への応募時に心がけることがあります。
それは上流工程につながる活動を詳細に記述することです。
例えば以下のような内容です。
- SEから要件をヒアリングし、その場で図にまとめ要件の漏れがないかコミュニケーションを心がけてきた
- 後輩のプログラマー3人のスケジュール管理・品質管理を行い、納期遅延を起こさず完遂した
コミュニケーションを心がけている、メンバーの管理をしているなど、将来、上流工程で活躍すると思わせることが重要です。
開発者の管理、納期・品質・コストへの高い意識、資格勉強など、以下のような観点で訴えていきます。
- 後輩などへの指示・教育・管理などの経験有無
- 後輩などへ働きかけしたこと(後輩のスケジュール管理、OJTによる教育など)
- 納期・品質・コスト遵守のために心がけていること(深夜残業してでもスケジュール遅延を起こさないなど)
- 小さなことでもいいので達成した成果(SQL書き換えでパフォーマンスを34.2%改善など)
- 簿記2級など資格勉強していること
もしいずれもできていない場合でも「業務知識を身につけるため簿記の勉強を始める」など、これから努力する旨を書きます。
私がそうであったように、プログラマー出身者はこれらのアピールが苦手です。
自分を持ち上げているようで気が引ける、書かなくても理解してくれる、そう思う人が多いのです。
私も同様の考えをしていましたが、書類選考に落ち続けました。そこで転職エージェントのアドバイスをもとに作り直し、前述のような適切なアピールを入れるようにしたところ、次々通過するようになりました。
人は、思っているよりも自分のことを理解してくれません。
アピールというよりも、自分のことを正しく知ってもらうために、できるだけ詳しく説明するくらいの気持ちで構わないのです。
資格
職務経歴書では資格も記述することがあります。
履歴でも資格欄がありますが、あえて職務経歴書にも記述するのは、資格がアピールできる場合です。
TOEIC 700以上、簿記1級、中小企業診断士、Oracle Master(Gold以上)など、難易度の高い資格を有している人は、必ず職務経歴書にも記載します。
なお人によっては、職務経歴書の先頭に資格を書く人もいます。自分が一番アピールできることを最初に書くのです。
テレビCMやお笑いなどと同じです。話の最初、つかみの部分で興味を持ってもらえなければ、職務経歴書を最後まで見てもらえないこともあるからです。
※実際、大企業など応募者の多い採用担当は、職務経歴書を数秒見て、後続も読むか、そのまま不採用とするか決める人もいます。
なお、アピールできる資格が無い人は、職務経歴書にあえて書く必要はありません。