私のキャリアは、年収276万円の下請けPGから始まりました。
しかし、下請けPG → 中堅企業SE → 大企業の社内SEと転職しながらステップアップし、今は年収1837万円のITコンサルタントとなっています。
学歴も経歴も不十分な私が、なぜ大企業社内SEやITコンサルタントになれたのでしょうか。
最初の重要なステップアップとなったPG→SEについて、転職のコツも含めて綴っていきます。
目次
下請けブラック企業のプログラマー
最初に働いた会社は、下請け(孫請け)のシステム開発会社でした。
IT業界の下請けによくある典型的なブラック企業です。
無理なスケジュールでの開発、教育もほぼなく、メンバーが作った設計やコーディングはボロボロ。テストをすれば不具合が大量発生して深夜残業の日々・・・
長時間残業をしても上司のプレッシャーで残業時間をつけることは出来ず、賞与も雀の涙のため、当時の年収は276万円に過ぎませんでした。
しかも上司や先輩はいつもイライラして当たり散らし、精神的にやられて退職する人が後を立ちません。
退職するとすぐに、未経験者や能力に問題のある人を新規採用し、「経験3年です」と嘘をついて派遣先に常駐させ、お金を稼ぐような会社です。
辛い環境の中、会社とはこんなものかと半分諦めていました。
しかしある出来事をきっかけに、私は転職を考えるようになります。
転職のきっかけとなった出来事
炎上案件への参加
社会人になって2年目、私は炎上案件の担当になりました。
元請け会社のプロジェクト管理と要件定義の問題により、ユーザ要望で膨れ上がった要件を、短納期で開発するという典型的な失敗案件です。
数億円の開発案件にも関わらず、基本設計・詳細設計で1ヶ月、コーディングは1.5ヶ月、テスト1ヶ月という信じられないスケジュールが引かれていました。
連日深夜まで仕事をし、会社に寝泊まりする日々が始まりますが、仕様変更が多発し、絶望的な状況になっていきます。
体調を崩して会社に来なくなるチームメンバー、テストを1つ実施すると12個のバグが見つかるなど、混乱しているうちに当初の予定スケジュールは過ぎてしまいました。
怒鳴り散らすSE
しばらくすると、元請け会社のプロジェクトリーダーとSEが来て、怒鳴り散らす日々が始まりました。
要件定義などの上流工程を行うSEは、下請会社のプログラマーだった私には憧れの存在です。
しかし目の前にいたのは、自分たちのプロジェクト管理と要件定義の失敗を棚に上げ、具体的な対策の提示もなく、ただ怒るだけのリーダーとSEでした。
その光景を見ながら思いました。「システム導入は上流工程でほぼ決まる。自分が上流工程を担当したら、絶対にこんなひどい案件にしない」と。
上流工程を目指す
今まではプログラミングこそ大切と考えていました。
実際にシステムを動かすのはプログラム言語、いかに品質高く保守メンテナンスも少ないコードにするか、を考えながら仕事していました。
しかしプログラマーがどれほど良いものを作りたくとも、上流工程で失敗すれば、劣悪なシステムしか作れません。
設計もコーディングも無理なスケジュールとなり、仕様変更が多発すれば品質を保つことも難しくなります。
私は怒鳴り散らすSEを見ながら、将来、上流工程の仕事をしていくと決意しました。
しかしITは多重下請け構造の業界です。
下請け(孫請け)の会社にいる私には、要件定義などの上流工程に関わる機会がほとんどないことも分かっていました。
給料やブラック職場環境も嫌気が指していたこともあり、私は転職活動を始めるようになります。
ちなみに炎上案件は、怒鳴り散らす日々が2ヶ月続いた後、元請け会社のリーダーが支店に飛ばされ、案件自体が凍結(要件定義やり直し)となりました・・・
自力の転職活動で心が折れる
求人情報の見極め方が分からない
転職を決めた私は、まず自力で転職活動を開始しました。
Web上の転職サイトにいくつか登録し求人情報を眺めると、「上流工程に携わるチャンス!」「残業代全額支給!」など良いことばかり書いたものが多くありました。
この頃の私は免疫がありません。
悪い求人情報の見極め方も、上流工程を目指すときに見るべきポイントも分からず、どの会社も今より良く見えてしまいます。
気に入った求人にいくつか応募すると、さっそく1社、面接の話が来ました。
私は自分が認められた気がして嬉しくなり、家で面接のシミュレーションも入念にして、喜び勇んで面接に行きました。
人事担当とシステム開発マネージャーとの面接で、最初は和やかな雰囲気で始まり、私の話に熱心に耳を傾けているようでした。
しかし、志望動機を聞かれて要件定義などの上流工程に関わりたいと伝えたところ、「うちは詳細設計以降がメインだから出来ないよ」と。
詳細設計以降?何を言っているか最初分かりませんでした。
求人情報に「上流工程に携わるチャンス!」と載っていましたと伝えたところ、
「チャンスはあるかもしれないけど、うちはほとんど2次請けだから」
「昔、1人月くらいの案件で要件定義からしたことあったかな」と言われ、下請け主体の会社であると分かりました。
今であれば、会社ホームページに載っている「取引先」や、特定派遣の記載があるかどうかで、下請け主体かどうか見極められると分かります(取引先がSIerやシステム会社の場合、下請主体であることが多い)。
しかし転職のコツも理解しておらず、プログラマー経験しかない私は、世の中に溢れる情報の何が正しく、何が誤っているか見極められませんでした。
気を取り直して別の会社にいきましたが、面接時に質問をするとまた下請け主体の会社でした。
自信がなかった私は、行きたい会社ではなく、規模も小さく受かりそうな会社を無意識に選んでいたのです。
そこで私は、もう少し規模の大きな会社に応募してみることにしました。
書類選考で落ち続ける
私は履歴書と職務経歴書を多くの会社に送り、返事を待ちました。
しかし書類選考で落ち続ける日々が始まります。
職務経歴書を自分なりに修正したりもしましたが、結果は変わりません。
「たいした学歴もない、下請け会社でプログラマー経験しかない、そんな人間が上流工程を目指すのはやっぱり無理か」と自信をなくしていきます。
当時の私は、職務経歴書に淡々と事実を書いていました。「JavaとOracleで詳細設計・コーディング・テストを担当」のように。
今はよくわかります。上流工程を目指す転職で、このような記述は価値がありません。
プログラマー経験は事実として記述しますが、
「SEから要件をヒアリングし、その場で図にまとめ要件の漏れがないかコミュニケーションを心がけてきた」
「後輩のプログラマー3人のスケジュール管理・品質管理を行い、納期遅延を起こさず完遂した」といったような、上流工程への意気込みや、上流工程をこなすスキルがありそうと思わせる記述こそが重要です。
未経験の仕事に転職する時は、「彼は上流工程をこなせる可能性がある」と思われないと採用されないのです。
しかし、当時の私はそのような術を知りません。
書類に落ち続けたまま、ある日、心が折れてしまいました。求人情報を見るのを辞め、上流工程のことも考えないようになりました。
自力で活動しても良い転職はできない、そう思った私は転職エージェントに登録するようになります。
転職エージェントを利用した転職体験談
転職エージェント登録のきっかけ
勤めていた会社は退職・転職者が多かったため、転職エージェントの話は以前からよく聞いていました。
しかし人見知りだったことや、悪い会社を押し付けられるのでは、といった気持ちがあり利用していませんでした。
そんなある日、同僚が転職エージェント経由で転職を決めました。
私と似たような経験・経歴にも関わらず、その会社は上流工程のみを行っており、給料も150万円以上アップとのことです。
素直な私は、自力の活動は難しいと感じていたこともあり、その話を聞いてすぐ転職エージェントに登録しました(素直というか単純なだけかもしれませんが・・・)。
エージェント面談の衝撃
しばらくするとエージェントからメールが来て、一度面談をしたいとのことでした。
履歴書・職務経歴書を送り、面談当日を迎えます。
面談は和やかに始まりました。そして一通り経歴や希望条件を聞かれた後、職務経歴書の見直しが始まったのですが・・・
私が必死になって考え書いた職務経歴書は、次々に修正されていきました。
「Oracle経験があるだけでは弱いので、SQLパフォーマンス向上のコーディングを心がけ31.4%速度改善した、など具体的に書きましょう」
「事実を書くだけではなく、上流工程を目指すために何を心がけているかが重要」
「目の前の転職ではなくキャリアプランをきちんと考えることで、面接も説得力が増します」
そして、見直し後の職務経歴書は原型を留めないほど変わっていたのです。
キャリアプランについても、自分が将来何をしたいか考えた結果、PG → 中堅企業のSE → ITコンサルタントか社内SE → 事業会社の経営企画 → 業務・IT両方をこなすコンサルタント、を目指すことにしました。
私は今、この時立てたプラン通りのキャリアを積み、年収1837万円のコンサルタントとなっています。
転職は戦略が重要です。
目先の給料や職場環境も重要ですが、将来を見据えたキャリアプランを考えられるかどうか、そしてそのキャリアを積むために今どの企業にいくべきか。そこが明確になると、求人情報の見方も変わってきます。
転職エージェントも担当者により良い悪いが大きく変わりますが、私は幸い、最初に良い担当者に出会うことができました。
そしてここから、転職活動が好転し始めます。
年収524万円のSEへの転職
書類選考に次々通過
転職エージェントに登録すると、Web上で非公開求人を含めて求人情報を参照できます。
また担当者から、希望条件などや現実的に合格できそうな求人が紹介されます。
私は紹介案件、自分で選んだ案件、それぞれ応募しました。
すると、8社中6社、書類選考を通過したのです。
自力の転職活動時に書類で落とされた企業レベル、もしくはそれよりも上位の規模にも関わらず、次々通過していきました。
職務経歴書修正の効果が早速現れたことと、転職エージェント経由のほうが、書類に通りやすいという裏事情もありました。
転職エージェントが推薦した場合、現在の実力が基準を満たしていなくても、面接まで通す企業もあるのです。
内定と転職
面接も、人見知りの私はたどたどしい話し方だったかもしれませんが、いつも好意的に面接官に受け止められました。
転職エージェントの面接対策を受けて受け答えが改善したこともありますが、企業側も、転職エージェント経由の求職者には一層優しく接することが多々あります。
個人的にはどうかと思いますが、対個人(自力で転職活動する求職者)と、対企業(転職エージェントから推薦された求職者)では態度をあからさまに変える企業もあるそうです。
6社と面接をした結果、3社から内定をもらいました。
選考中だった残り3社はその時点でお断りし、要件定義から一貫して関われる会社に最終的に決めました。
ちなみに、最終確定の前には給与等の条件交渉がありますが、交渉は全て転職エージェントがしてくれます。
また内定辞退をする場合も、エージェント担当者は快く引き受けてくれます。
企業と求職者が直接連絡することなく、辞退をエージェントから伝えてくれるのです。
これは、人見知りかつ断ることが苦手な人間には、とても有り難い仕組みです。
ちなみに給与等の条件交渉ですが、私はエージェントに依頼しませんでした。
というのも、内定をいただく前に企業から条件書のようなものを提示され、入社したときの給与・賞与額などの想定値の説明あったのですが・・・想定年収額は524万円!
転職前の年収が276万円です。250万円近い年収アップ!
これには驚きました(元が低すぎたという声もありますが)。ちなみに入社後の実際の給与は、524万円を超え、残業が多いときで600万円弱になりました。
転職で得たもの・失ったもの
転職で上流工程に携わる
私は勤めていた会社を退職し、転職先に入社しました。
人も穏やか、給料も大幅にアップ、残業時間もよほどのことがなければキッチリつけられる、全てが信じられないことばかりでした。
そして何より、私が目指していた上流工程に携われるようになりました。
規模の小さい案件からでしたが、要件定義から関われるのは楽しくやりがいを感じるものです。
プログラミングなどの下流工程は、実際にモノを作っていくような楽しさがありました。
一方、要件定義などの上流工程はシステム全体を作っていく楽しさがあります。自分の考え一つで、システム全体の動作や、仕様を変えていくことも可能です。
失ったもの
一方、失ったものもありました。
下請け会社時代、ずっと遅くまで一緒に仕事をしていたこともあり、チームメンバーとかなり親しくなっていました。
日々飲みながら、会社の愚痴を言ったり、将来こんな仕事がしたいと話し合ったり・・・しかし転職後、メンバーとは疎遠になったのです。
私が大幅に給料アップしたことや、上流工程でやりがいを感じていることを好ましく思わなかった、と後で聞きました。
全ての物事は表と裏があります。良いことだけ起きることはありません。
その時は寂しく辛い気持ちになりましたが、より良い道を進むには、超えなければいけない壁があります。
失うものを恐れて下請け会社で働き続けていたら、今、私が年収1837万円を得ることも、やりがいある仕事も出来ていなかったでしょう。
今いる世界を飛び出す
人はどうしても、今自分がいる環境が全てと思ってしまいがちです。
まさに私がそうでした。
しかし、上流工程を目指したい、やりがいある仕事がしたい、人間関係を改善したい、給料を上げてプライベートも大切にしたい・・・そういった気持ちがあれば、今いる世界を飛び出すことが重要です。
ただし、自力の転職活動は難しいというのも事実です。
転職を成功し、新しい環境でやりがいも給料も得たいと思うなら、エージェントを使いこなすことを勧めます。
転職活動に踏み出せない、もしくはエージェントは敷居の高さを感じる、そういった人には親身にサポートしてもらえる転職エージェントがいいでしょう。
多くの人が、私のように転職で人生を変えていけることを願っています。
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